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「交通犯罪」に関するお役立ち情報

交通事故で加害者になった場合の犯罪

  • 文責:所長 弁護士 岡安倫矢
  • 最終更新日:2025年12月15日

1 交通事故が刑事事件となる場合

交通事故を起こした場合、犯罪の可能性があるか、すなわち、刑事事件となるか否かは、人身事故と物損事故によって異なってきます。

2 物損事故の場合

物損事故の場合、原則として犯罪は成立しません。

他人の物を損壊すると、通常、器物損壊罪が成立することとなりますが、同罪は、故意犯とされています。

すなわち、故意に他人の物を損壊したものでなければ、物損事故を起こしても器物損壊罪は成立しません。

ただし、飲酒運転によって物損事故を起こした場合には、酒気帯び運転や酒酔い運転で罪に問われることはあります。

上記のとおり、通常、物損事故の場合には、原則として犯罪は成立しませんが、過失又は重過失により他人の建造物を損壊した場合には、道路交通法116条により、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処せられますので、刑事事件化されることになりますので、注意が必要です。

3 人身事故の場合

人身事故の場合、以下のような犯罪が成立する可能性があります。

①過失運転致死傷罪

②危険運転致死傷罪

③救護義務違反

④報告義務違反

⑴ ①過失運転致死傷罪

自動車を運転する上で必要な注意を怠り、これによって人を死亡させたり怪我をさせたりした場合には、「過失運転致死傷罪」が成立する可能性があります。

過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の拘禁刑、又は100万円以下の罰金とされていますが、被害者の傷害の程度が軽い場合は、情状によって刑が免除される可能性があります。

⑵ ②危険運転致死傷罪

以下に該当する行為を行い、これによって人を死亡させたり怪我をさせたりした場合には、「危険運転致死傷罪」が成立する可能性があります。

危険運転致死傷罪の法定刑は、人を死亡させた場合が1年以上の有期拘禁刑、人を負傷させた場合が15年以下の拘禁刑とされています。

・アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

・その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為(大幅なスピード違反)

・その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為(未熟運転)

・人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為(あおり運転)

・赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為(信号無視)

・通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

⑶ ③救護義務違反

交通事故を起こしたにもかかわらず、負傷者を救護しなかった場合には、「救護義務違反」として、10年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処せられるとされています。

⑷ ④報告義務違反

交通事故を起こしたにもかかわらず、警察官に報告しなかった場合には、「報告義務違反」として、3月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金に処せられるとされています。

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